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 ▼ 深作欣二『仁義なき戦い』(1973 日)


 何日か前にテレビに梅宮辰夫が出ていてこの『仁義なき戦い』のことしゃべってんのよね。ひょぉ〜っ、かっちょいいいいいい、と思わず、ビデオ借りてきた。
 どぅんどぅんどぅんどぅんどぅんどぅどぅどぅん。。。とテーマソングが流れてくるだけで血脇き肉踊る。それにしてもみんな若かったんだねぇ。金子信雄でさえ、わ、若い! 当然、文太も、梅宮パパも、松方弘樹もみんな顔の肌がぴちぴちしておるよ。その当時にみんなおじさんに見えたのに、今見ると、なんと可愛いことよ。そう思ってみると、凄みに欠けるんだけど、とりあえずこの第1作目では、菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫が全開バリバリで束になって出てくるんだから、そこへ渡瀬恒彦、川地民夫、田中邦衛、伊吹吾郎ってところが出てんだから、今では考えられませんなぁ。渡瀬恒彦は3作目でのブレイクにそなえての伏線としてしか出てないのに。
 さて前半は梅宮パパ。この1作目では文太をサポートする渋い兄貴分に徹してしまっていて比較的抑え気味。あぁこれだけで梅宮パパを使いきってしまうなんて、なんと贅沢な。しっかり3作目以降で使い回しするんだけど(^_^ゞ 
 後半は松方弘樹。この1作目は何といっても松方弘樹に尽きるでしょ。前にcommyやんが作った「仁義なき戦い」ミックスをもらって、そこで使われてたのが
 「おやっさん、言うとってあげるが、あんたは初めからわしらが担いどる神輿じゃないの」ってところ。金子信雄相手にずばっと松方弘樹が迫っていくところ。
 「夜中に酒飲んどるとよ、つくづく極道がいやになっての。。。足洗うちゃるか思うんじゃが。。。。朝起きて若いもんに囲まれちょるとよ、のう、夜中のことは忘れてしまうんじゃ。。。」
と、文太相手にひとりごちる松方弘樹に、ずばり文太は
 「・・・最後じゃけん、言うとったるがよ、狙われるもんより狙うもんのほうが強いんじゃ・・・そがな考えしとったら、スキができるぞ・・・」
 その通り、つぎの瞬間には子供のぬいぐるみを手に血の海に倒れてしまう。
 ここで、松方弘樹が表の顔と裏の顔をものの見事に演じきる。その直前まで情婦(渚まゆみ)に生ませた自分の子供にやる人形をしてさがしてて、この前後の松方弘樹をめぐる展開にスキが全くない。緩急をまざった息もつかせぬ展開はほんとに見事。
 文太が出所してきて、たまたま線香を上げに行った兄弟分の女は、いまは松方の情婦になっていた。その女の部屋で偶然にも松方弘樹と文太が鉢合わせしてしまう。二人が山守組について話すうちに、文太に殺られると勘違いした松方弘樹の慌てようったら、すごみを通り越して笑えてしまう。いやほんとここの表と裏の顔のすり替わりは見事よ。
 そしてなんと言おうが、この『仁義なき戦い』をがっちり支えているのが、金子信雄と木村俊恵のボケツッコミ漫才路線。この二人についてはまたあとまでおいとこう。
 この『仁義なき戦い』が、とりあえず5作まで引き継いで行こうという構想が初めからあったのか、どうかは知らない。どうせ当時の東映のすることだから、当ったらとでも考えていたに違いない。だからからなのか、この1作目は群像劇としての色合いが他に増して非常に濃い。というか、がしっとした群像劇の構造をはじめからもっている。戦後の混乱期をがちっと組み合わせて、ただのドンパチに終わらない極上の群像劇となったと思う。会社の意図など棚にあげといて、一発やらかしてやるという深作監督と脚本笠原和夫のコンビの気概がひしひしと伝わってくる。
 パッと見に単なるヤクザ映画として括られようが、これは永遠に名作だとボクは思っている。

監督 深作欣二
脚本 笠原和夫
原作 .飯干晃一
撮影 吉田貞次
音楽 津島利章
美術 鈴木孝俊
出演 菅原文太 / 梅宮辰夫 / 松方弘樹 / 金子信雄 / 木村俊恵 / 田中邦衛 / 三上真一郎 / 曽根晴美 / 渡瀬恒彦 / 伊吹吾郎 / 川地民夫 / 渚まゆみ / 内田朝雄
★★★★★



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2002年10月27日(日)
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