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 ▼ 深作欣二『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973 日)


 以前、まご日記の方にも書いたせりふ
 「おめこの汁で飯を食うとるんで」
が飛びだしてくるのがこの2作目『広島死闘篇』。再び幻冬舎文庫『仁義なき戦い』のあとがきのその部分を引っ張り出してくると
「おこのしるで
  めしくうと
の音韻の反復をあげていた。これを読んだときに、へぇーそうなんだと感心したけど、そのシーンが突然ぱっと出てきたときには凍ってしまったよ。このセリフを口にする千葉真一、もうむちゃくちゃにいい。実のところ、これをリアルタイムで見たときには、当たり前のことなんだけれど、北大路欣也、そして梶芽衣子に完全に目が行ってしまっていて、千葉真一がこんなすげえ演技をやってのけてるなんて、しっかり見落としていた。欣也に目が行くように行くように仕立て上げられているんだから、当然、欣也のシーンだって鬼気迫るところがある。ラストの銃身を口にくわえる(脚本では《銃口をこめかみにあてがい》)、そのときに歯ががりっと銃身に音を立てる。はぁ、身震いするやね。黙々と銃口から砂のような粉を流し込んでいく(これも脚本にはなし)。
 そしてこの男臭い5作中でただ一つ花となるのが梶芽衣子。さそりシリーズで絶頂の時だったんだなぁ。いま落ち着いてみると、多分に「くささ」が滲み出てるのだけど、やっぱり梶芽衣子というのは、この72-3年という時代のヒロインだったんだな。 
 一作目の群像劇から一転して、鉄砲玉=山中(北大路欣也)を追いかけるドラマになっている。それはそれでいいわけで、同じパターンの二番煎じだったら、5作も続かなかったにちがいない。だからなんだけれど、文太がこの2作目ではどうしようもなくしょぼい。文太がしょぼくれると、それにつられるように、金子信雄のボケツッコミ漫才も完全にトーンダウンしてしまってる。結局、作る側も見る側もどっちをとるんだということになってしまうのはどうしようもない。ここんところの苦労話は幻冬舎文庫『仁義なき戦い』にあるから自分で読みなはれ。
 マシンガンのように切れまくった千葉真一、そしてヒロイン梶芽衣子、それでお釣りが来るってもんだよ。あ、忘れるところだった、目ん玉ぎょろっと剥いて、口を歪ませる小池朝雄、ボクは好きなんだよなぁ。


監督 深作欣二
脚本 笠原和夫
原作 飯干晃一
撮影 吉田貞次
音楽 津島利章 
出演 菅原文太 / 北大路欣也 / 千葉真一 / 梶芽衣子 / 山城新伍 / 名和宏 / 成田三樹夫 / 加藤嘉 / 室田日出男 / 小松方正 / 金子信雄 / 小池朝雄
★★★★☆



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2002年11月06日(水)
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