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■ ▼ ケン・ラッセル『チャタレイ夫人の恋人』 (1993 英)
別にこれといって悪くはないけれど、良くもない。というか、ケン・ラッセルの名前で見ると、こけてしまう。もっともっと頑張ってくれないと、変態ケン・ラッセルの名前がなくヨ。 元々BBCのテレビドラマ用に作られたらしく、ボクが今回見たのもそのテレビドラマのほう。これを編集し直して '95に劇場公開版もあるらしいが、どっちみち似たりよったりだろう。むしろ54x4=216分もの長いのを115分に縮めたのだから、変態度数はさらに下がってしまったにちがいない。 例えば、第1章というのか、テレビの第1回めというのか、コニー(ジョエリー・リチャードソン)が馬に乗って森の中に入っていくときに、彼女の妄想として森に続く道の両側に裸の男たちが何人も並んでいる。こういうシーンはまさにケン・ラッセルならではのものなんだけれど、はてそれからどうすんだろうと見ていたら、あとはさっぱりヨ。ローレンスの力技にケン・ラッセルさえもねじ伏せられた格好で、ひたすら原作に忠実なの。ラスト近くでメラーズ(ショーン・ビーン)が村人にリンチされるあたりは、ちょっとケン・ラッセルかとも思わせるけど。 森の中でコニーとメラーズが全裸で森の中ではしゃぎ回る。これは、確か原作にはなかったはず。当然ヘアはしっかり映ってる。そうか、この95年頃に日本でもヘア解禁だったのだ。ボカシなしよ。ヘアが見えたからってどうってことないんだけどな。そしてよく見てると、ショーン・ビーンのイチモツがビーンとなってなくてぶらんぶらんしてるのが見える。それも見えたからってどうってことないんだけどな。そんなふうに見えたからって、それでケン・ラッセルってわけでもなくて、ただ美しい。 ちなみに、若い人がこれ読んで知らんかもしれないのであえて書いておきますと、この『チャタレイ夫人の恋人』は伊藤整の訳で日本では猥褻裁判になって有罪判決。これが判例となってしまって、その後の猥褻裁判、『愛のコリーダ』も、のたびにひきあいに出された。今はどうなってんのか知らんが、新潮文庫では同じ伊藤整訳でも、問題の部分は延々と***の伏せ文のままだった。ところがボクはその裁判沙汰になったのを中学生のときにオヤジの本棚からパクってきて愛読しておった。当時、どこにエロい表現があるかしっかり覚えてたのだよ。 をっと話が変なほうに逸れた。まぁごくふつーのメロドラマだな。文章読んでるほうがもっとエロくてよかった。エロいったって、猥褻裁判で有罪になったからでなくて、いま巷に氾濫しているエロ本や、エロビデのほうが卑猥で、なんでこんなもんが有罪?と思うだろうけど、とにかく、この映画見てるより、文章読んでるほうが、淫靡な香りが漂ってるな。 あえて言うときますと、悪評プンプンの『失楽園』ってとこですか(-.-;) いつからこんなお利口さんになってしまったんだよ、ケン・ラッセル先生。
Lady Chatterley 製作 マイケル・ハジャック 監督 ケン・ラッセル 脚本 マイケル・ハジャック 原作 D・H・ローレンス 撮影 ロビン・ビジョン 音楽 ジャン・クロード・プティ 出演 ジョエリー・リチャードソン / ショーン・ビーン / ジェームズ・ウィルビー
★★
2002年12月07日(土)
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