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 ▼ フェデリコ・フェリーニ『オーケストラ・リハーサル』 (1978 独,伊)


 フェリーニだから見てられるどたばた悲喜劇。別の言い方をすると、フェリーニだと思ってみると、あまりの軽いタッチに肩透かしくらわされる。
 だがその肩透かしも、元々イタリアの国営放送向けにつくられた作品だが、あまりに政治的すぎると放送禁止になりかけたくらいだから、けっこうヤバいこと言いまくってんでしょ。NHK制作でコイズミや痔眠党を愚弄するようなことばっかりやったらアカンのと同じですワ。でもそんなんちっともわかりません。あとキリスト関係もかなりギャグってるみたいだけど、そんなんもわかりません。わかりません、わかりませんの難解なのかというとそうでもなくて、むしろ単純明解の部類でしょ。
 13世紀に建てられたという寺院の礼拝堂でオーケストラが演奏するのを、メンバーが集まってくるところから、テレビのドキュメント番組にしようと取材に入る、それをたどって行くのがこの映画。舞台設定からして何やら怪しげというよりおかしげで、礼拝堂には墓が安置されてもいる。ここらたぶん教会を小バカにしたようなことやってんだろうな。最初に爺が譜面台に譜面を置いていく。置き終わった瞬間にどこかで譜面が落ちる。それを置いたらまたどこかで...というふうに、こりゃ何だろう、モンティパイソンでもないし、アメリカのコメディーでもないし、とにかくフェリーニ風コメディーの始まり。
 そこから出てくるメンバー老若男女問わず、一癖二癖ありそうなのばっかりで、好き勝手言いだす。何を皮肉っとんのかわからなくてもこのてんでばらばらぶりはおもしろい。ちょうど老人が何人も集まって、脈絡もなくしゃべってる、まるでニワトリ小屋状態なのがおもしろい。そんなところに指揮者(ボールドウィン・バース)がやってきてリハーサルが始まるけれど、まとまるわけもなくて、指揮者はブチ切れ。そうなるとこの集団はアナーキー状態になって、しまいにはピアノの下にもぐってやりだすは、ピストルをぶっ放すは、まさにニワトリ小屋に女子高生を3人ほどほりこんだような始末(←なんというたとえじゃ(^_^ゞ)。
 やっとのことでリハーサルを再開するも終末がやってくるのだった。この終末観がなんともフェリーニらしい。その終末を最小の犠牲で乗りきって廃墟と化した礼拝堂でリハーサルを再度再開するも、ほれ元の木阿弥。ちゃんちゃん。
 ということでこの音楽ずっぽしの映画、ずっとフェリーニと一緒にやってきたニノ・ロータの遺作となったのも何かの思し召しかも。

Prova D'orchestra
監督 フェデリコ・フェリーニ
脚本 フェデリコ・フェリーニ / ブルネロ・ロンディ
撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽 ニノ・ロータ
出演 ボールドウィン・バース / クララ・コロシーモ / チェザーレ・マルティニョニ
★★★☆



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2002年12月18日(水)
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