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 ▼ フランソワ・オゾン『焼け石に水』 (2000 仏)


 いま話題の『8人の女たち』のフランソワ・オゾンの前々作。元は19歳のライナー・ベルナー・ファスビンダーの戯曲という。というわけで、舞台がレオポルド(ベルナール・ジロドー)の家の中だけ。一切、家の外側は描かれない。いいねぇ、安上がりで。しかもごく一般的なフランスの中流の男やもめの家だから、ますます安上がり。が、見くびってはいけない。そこはフランス、いくら男やもめの家といえど、インテリアがごこごくふつうにいいのだ。まず冒頭の家のドアにはめこまれた窓のシルエットがいいでしょ。思いきり期待(この期待はじきに萎えていくのだが)させてくれるのネ。それから壁紙ひとつにしても、あの色の使いかたを日本でやると、とてつもなくチープな喫茶店になってしまう。ここんところはフランスの先天的なセンスの良さってもんでしょ。きのう見た『軽蔑』のセンスにはとてもおよばないけれど、ださい男やもめ―この男はダサくダサく描かれなければならないわけだから、思いきり外したインテリアでアレだもん。ちょっと参ったする。
 さてと「より多くを愛するものは常に敗北者となる…」という不条理がテーマなんですネ。ということはギャルソンとマドモアゼルの、と思いきや、をいをいをい、おっさんレオポルドと、たぶん原作のファスビンダーの投影であろう若いフランツ(マリック・ジディ)のゲイが始まってしまう。をををーーーっとこれには参った(^_^;ウゲゲ…。さすがのボクでも参リンパ腺。よっぽどぶち切ってやろうかとも思ったんだけど、ただね、このおっさんの口説きがおもろいの。で、ついつい先まで見続けると、フランツの彼女アナ(リュディビーヌ・サニエ)がおっさんの留守中に現れてちゃっかりフランツとよりを戻す。をいをい、この連中、男だろうが女だろうがおかまいなしかい{^。^`;ヨホホ そこへ出張中だったおっさんが帰ってきて、さて修羅場というところへ、おっさんの元彼女、いや元彼氏ヴェラ(妖怪ヴェラっておらへんかった?{^。^`;トホホ このヴェラはおっさんのために性転換までやってのけた元♂)が現れて、4人で踊るのだよ。なんかこうなってくると、コメディーだな。
 で、結末は書かないでおくが、要は「より多くを愛するものは常に敗北者となる…」なんですネ。悪くはないけど、やっぱりゲイがこうも前面に押し出されてくると、どうにもこうにもノンメルシーってとこですか。


VieGouttes d'eau sur pierres brulantes
製作 オリビエ・デルボスク / マルク・ミソニエ / アラン・サルド / クリスティーヌ・ゴズラン
監督・脚本 フランソワ・オゾン
原作 ライナー・ベルナー・ファスビンダー
撮影 ジャンヌ・ラポワール
出演 ベルナール・ジロドー / マリック・ジディ / リュディビーヌ・サニエ / アンナ・トムソン
★★★



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2003年01月08日(水)
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