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 ▼ アンジェイ・ズラウスキー『ポゼッション』 (1980 独, 仏)


 これ、最初に見たときには、おもろかったんだけどなぁ。今、もう一度見直してみると、どうにもこうにもつまんねぇぇぇ〜〜! あのころはアジャーニにぞっこんだったからかなぁ。これね、見ようによっては非常に人間臭い話のはずなんだけど、時代の流れだったのか、オカルト+ホラー+スプラッターにしてしまったら、どうにもならんでしょうに。
 どうして目に見えない妄想、狂気を映画だからといって絵にする必要がある? どうして実体化させる必要がある?こういうと、見たことある人ならわかるだろ。胎児のようなぬらぬらの生物(?)、マルク(サム・ニール)でもない、ハインリッヒ(H・ベネント)妄想上の化け物・・・サイアク(-"-) これ、見せたらダメですよ。一気に白ける。なんだ、結局は糞オカルトじゃないか。そうとは片づけることの出来ないものが存在するはずなのに、見せてしまうことで矮小化されてしまうのだ。あげくの果てに、その化け物とアンナ(アジャーニ)のセックスかい。この化け物を見せるというだけでさえガマンならないのに、スプラッターまがいの血糊の連続。やめてくれよ。キワモノにもほどがある。 
 あぁ、ほんともったいないな。アンナがほんとうに愛してたのはマルクであったなどと、おめでたいこと考える気などさらさらないが、狂気は狂気でいいのだ。狂気に取り憑かれての、地下鉄での牛乳ぶちまけアジャーニダンスはもう最高なのになぁ。ボクが見てていちばん怖かったのは、アジャーニがミンサー(挽き肉をつくる機械)に次から次へと肉をつめこんでいくところ。
 それからブリュノ・ニュイッテンのカメラはさえまくってる。あえて映像美などとは言わない。ぽっと目の前に投げ出された映像、それに見る側がとびつくや、ぱっと突き放される。ドイツぅぅぅ〜という感じね。
 まぁ、何とも救いようのない映画であることは確かで、ズラウスキーの内側では理路整然としてんでしょうが、別にその理路を知りたいとも思わない、たぶんに一人よがりならそれもそれでいい。一人よがりが決してよろしくないとも思わない。見る側は見る側で勝手に一人よがり的に解釈すればそれでいいんだから。ただね、上にも書いたとおりで、その一人よがりを矮小化させるのだけは見せてほしくない。あくまで一人よがりで突っ走ってくれればそれでいいのだ。

Possession
製作 マリー・ロール・レイル
監督・脚本 アンジェイ・ズラウスキー
撮影 ブリュノ・ニュイッテン
音楽 アンジェイ・コジンスキー
出演 イザベル・アジャーニ / サム・ニール / H・ベネント / マルギット・カルステンセン
★★



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2003年02月03日(月)
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