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 ▼ パトリス・ルコント『仕立て屋の恋』 (1989 仏)


 このルコントというのはかなりフェチっとるよなぁ。とくにこの『仕立て屋の恋』はフェチの極致。ああ、もうボクシングのシーンでの淫靡さはたまりませぬ。やっちゃうんだよなぁ、危険は承知の上で。そういう意味では前半のイール(ミシェル・ブラン)のストーカーまがいの覗き、う〜ん、これもわかってしまう。という意味でボクはけっこう「あぶない」(-.-;)
 冴えないつるっ禿の仕立屋イールはかなりの自閉症で、ご近所様からは変な目で見られる、当然女もいない。そんなイールはパリのアパートメントの自室からのぞき見える女アリス(サンドリーヌ・ボネール)に惚れていた。あるとき近くで殺人事件が起る。その容疑者の一人としてイールが上がる。だが、その真犯人はイールが勝手に惚れ込んでいるアリスの婚約者(リュック・テュイリエ)だった。と、これくらいにしといたろ。イールのミシェル・ブランがいいのね。いわゆる性格俳優とでもいうか、こういう人が堂々と真ん中に据えて映画を作れるというのもフランス映画だからこそ。
 原作のジョルジュ・シムノンというのはメグレ警視シリーズね、その『イール氏の婚約』だけれど、原作まで読んでるわけなくてわからないけれど、元の原作のストーリー性に負うところも大きいんだろうけれど、流れとしてはぐいぐい引き込まれて行くし、そしてなによりも、けっこう残酷な結末だね。これもたぶん原作通りでしょ。ラストのラストはほとんど蛇足だね。女ってそんなもんなんですかぁぁ(-。-;) でもそういう残酷性って好き。ああいうふうにやっちゃってる、あ、いや、やられちゃってるよなぁ・・・・・
 だけどこの結末にもってくるまでの、アブノーマルとまで言えそうなフェチ加減がむちゃくちゃに効いてんだよね。ひとつの情景、例えばイールとアリスが初めて駅のレストランで食事をするシーンでもシンメトリックな構図がゆっくりゆっくりと上から下に下がっていく、これをフェチと呼んでいいのかわからんけど、ボクはこのカメラの動きはフェチだと。もちろん上に書いたようにボクシングシーンはフェチそのものだし、エミールが逃亡するときに、アリスの組んだ手、そして肩とパートを捕らえていく。パーツマニアのボクとしてはゾクゾクしてしまうの。
 きっちりルコントにはめられる1時間半弱。

MONSIEUR HIRE
監督 パトリス・ルコント
製作 フィリップ・カルカソンヌ / ルネ・クライトマン
原作 ジョルジュ・シムノン
脚本 パトリス・ルコント / パトリック・ドゥヴォルフ
撮影 ドニ・ルノワール
美術 イヴァン・モシオン
衣装 エリザベト・タヴェルニエ
編集 ジョエル・アッシュ
音楽 マイケル・ナイマン
出演: ミシェル・ブラン / サンドリーヌ・ボネール / リュック・テュイリエ / アンドレ・ウィルム / フィリップ・ドルモワ / マシュー・ゲイデュ / ミシェル・モラノ / マリエル・ベルトン / アンドレ・ボーダン
★★★★☆



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2003年02月15日(土)
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