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■ ▼ 廣木隆一『不貞の季節』 (2000 日)
団鬼六先生の半自伝的小説の映画化。原作、読んでないけど、短編だっていうから、原作自体がつまらんのだろうな。鬼六先生の場合は『花と蛇』にしろ『肉体の賭け』にしろ、ねっとりじっくり描き上げてみせる、ようこれだけ手を変え、品を変え、と言っても、責めのパターンは結構同じなんですが、その執拗さなところに醍醐味があるからなぁ。1回のSM性交渉に数ヶ月(連載でネ)かかるのに、短編でさらっと行かれてもです。 さて、映画の方だけど、これまでの鬼六モノと比較すると何とも頼りない。それはメインが、「エロ・グロ・ナンセンス」小説家・黒崎(大杉漣)を中心に展開するからで、ずばり大杉漣に頼りすぎなんですヨ。鬼六先生、女を描くことには長けてはいても、男の方はさっぱり。ほとんど空気みたいで、何ら印象に残る男はいない。責める主体となる男がいない。責めさせる男はいても、『花と蛇』にしても責めるのは女。 責められる黒崎の妻・静子が星遥子ではどうにもこうにも、いったい何なの?ってところであります。完全に女優不在なところでこのような映画は成り立たないです。少なくとも『花と蛇』の静子と同じ名前の女が出すのなら、それ相応の女優を、それ相応に見せろよな。鬼六先生の常套パターン、はじめ拒絶していたモノが次第に、その世界に溺れていく。そこでの変化が全く描かれてないのね。ある日、偶然黒崎の弟子川田(村上淳)と出会って、いきなり両手を前に突きだして「縛ってみて」では納得いくわけないでしょ。縛りにしても山崎絵里だけでしょ。彼女をマジくそに縛ろうが、満足できません。 いくら怪優=大杉漣を前面に押し出したところでどうなるってものではありません。たしかにかつての日活ロマンポルノを彷彿させ、ペーソスにどこか卑屈な笑いを立てたところで、しょせん女優不在ではお寒いばかり。 あと文句つけとくと、悪辣さを表すのに大阪弁使わせてるんだけど(鬼六先生の小説の中でも)、悪辣=大阪弁ということについて別にエエんだけど、同じ使うんならとってつけたような大阪弁だけは堪忍してほしい。ほんと白けるんだから。 ところで鬼六モノって、あの屋敷使ってるの多いよな。どこにあるんだろ? 鎌倉?
監督 廣木隆一 原作 団鬼六 脚本 石川均 撮影 鈴木一博 美術 高橋俊秋 音楽 遠藤浩二 照明 上妻敏厚 出演 大杉漣 / 星遥子 / 村上淳 / 山崎絵里 / しみず霧子 / チャーチル・ウイリアム・ブライアン / 伊藤裕作
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2003年02月23日(日)
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