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 ▼ アラン・レネ『去年マリエンバートで』 (1960 仏, 伊)



 最初に断っておきます。まあ言い訳みたいなもんですが。これ、ずっとずっと見たくて探してた。探すというてもですねぇ、DVD置いてるような店に行ったって、このようなカルトなのは置いてないですね、ハイ(-.-;) ところがオークションやり始めて、はたと気がついた。そうだ!オークションなら、と、検索一発、いきなりかかってきましたじゃないですか。それぇ〜〜っ!ってなもんで、がむばって競り落として、無事、商品も到着。にんまり笑って、見ようとしたら、な、な、なんと、字幕が日本語でない!くっぅぅ〜〜。ん〜んと、気合いを入れて見ました。根性でしょ。いや、それくらい以前から見たかった。でも意外と、字幕の英語簡単でした。これがゴダール(ちなみに、これは監督アラン・レネでっせ。ゴダールちゃいまっせ>盗作乱D様)だったら、わけわからん…(^・^;)でひっくり返ってんだろうな。もっともゴダールの場合、字幕読んでても理解しようなどとはなから考えてませんから、ゴダールの英語字幕でもなんでもこいや(笑) ちなみに日本語版DVDが今年の4/25に出るそうな、しくった(^◇^;)
 さて前置きばっかりになりそうなので、さっさと本編に挿入しますと、わわわわわぁ〜、やっぱり、すげぇ〜〜〜〜っ!!!の連続技。話のプロットなんか、どうでもよろし。字幕が英語などというハンディなんかどこぞの世界で、しまいにゃ字幕、邪魔だから消したろかと、さすがに消しませんでしたが。もう一度見るときは字幕消しましょう。でも日本語版出たらそれも買おうっと。
 どうすんげぇーかというと、動く写真集とでも言うたらエエのか、どのカットをとっても写真集の1ページになりそう。それはすごいのだよ。とくにデルフィーヌ・セイリグの指の先まで決まったポーズ、動いているのだからというのも変だけれど、が見てるほうの頭の中に焼きついてくる。デルフィーヌ・セイリグの動きのゆったりとした流れというのは、デュラスの『インディア・ソング』もそうだった。というか、『マリエンバート』見たら、『インディア・ソング』ってそのパクリだったんじゃなかろかと(^◇^;) どこだったか、『マリエンバート』はメヴィウスの輪だというように書いてあったけど、確かにそうで『インディア・ソング』ではそれを部屋の大きな鏡を使かってた。この『マリエンバート』は時間とデジャビュと、はたしてどれが現実なのかわからない現実と、また幻実とが縦横無尽に入り乱れて、かと言って、見てる側がこのパートはどうなんだと一生懸命頭の中で整理させられる必要なんてさらさらなくて、ただただ時間のゆったりとした流れに添っているだけで快感につながる。何がどうしてどうなったのか、そういうのでふりまわされるのって苛ついてくるんよね(<『メメント』)。そうじゃなくて、この流れにより添ってるだけの快感というのはボクはたまらなく好きなのだ。
 中庭のシーン、何度かあるけれど、あの中庭には実は影が無い。ただ人が何人か立っているときに、人にだけ長い影ができている。それが何なのか、そんな判じ物は評論家の連中にまかせておけばよくて、その答えにふぅーん、そうかとテキトーに相槌うっておいてやればいいのよ。ボクらは、その奇妙な感覚にとらわれてるだけで幸せ。
 同様にこの映画で多用されている静止する人間像は、ジョルジュ・アルベルタッツィの独白「あたかも魂のない彫像」のようでその間を縫って動くジョルジュ・アルベルタッツィ。これは逆に死後に現生を眺める人間のようにも思える。このジョルジュ・アルベルタッツィの視線に同化するカメラの動きがの浮遊感もたまらない。ちょっと余談ですが、サッシャ・ピトエフの背後の壁にかかってる絵の中に、急にアヒルだかの絵が浮かび上がってくるところがある。実はカメラの照明がサッシャ・ピトエフの影をつくってその部分が見えていなかったのに、照明も一緒に動いたせいでその影がなくなったから。これもとても不思議な気分にさせられる。そうさせられるのは、ディティールまできわえて鮮明に写しだすカメラのせいなんだろうな。とにかく冒頭で屋敷の中をくまなく写してまわるカメラの克明さは圧巻です。そして何よりも地を這うような不穏なオルガンの音が十分にその素地を作ってるのですね。いやぁ、まいった、まいった。こんなんだったら、もっとがむばつてさっさと見とくんだった。
 ところで、屋敷の中で幾度も出てくるゲーム、しまいには謎解きのような写真でもゲームやっちゃったりしてさ、あのゲームの必勝法、知ってます(笑)

L' ANNEE DERNIERE A MARIENBAD
監督 アラン・レネ
製作 ピエール・クーロー / レイモン・フロマン
脚本 アラン・ロブ=グリエ
撮影 サッシャ・ヴィエルニ
音楽 フランシス・セイリグ
出演 デルフィーヌ・セイリグ / ジョルジュ・アルベルタッツィ / サッシャ・ピトエフ
★★★★★



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2003年03月01日(土)
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