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 ジョン・キャメロン・ミッチェル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』 (2001 米)


 ジョン・キャメロン・ミッチェルというのは、監督・脚本・主演とやってのけるマルチプレーヤー、それだけでなくこの『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は元々オフブロードウェーで2年以上のロングランとなったミュージカルの映画化だという。もちろんそのミュージカルもジョン・キャメロン・ミッチェルによる。あまりに当たり過ぎたから、じゃ映画にもしちゃおうと。
 どうおもしろいのかというと、ヘドウィグはホモセクシャルで性転換手術まで受けた。男・女という関係、それがどうなのかということに話が及んでいく。つまり、元々ひとつであったものを二つに分けられて、その一方を探しに行くのだという。そのことにうまく東西ベルリンの壁の崩壊をオーバ−ラップさせる。デビッド・ボウイ、イギー・ポップ、ルー・リードといった流れを継承するように、男・女の壁を崩壊させる愛を歌い継いでいく。そこに、ジェンダーの交錯、かつての恋人の裏切りがあったりと、話の構築のしかたそのものはすごくおもしろい。
 それはおそらくミュージカルですごくヒットしたその通りなんだと思う。さて映画化するにあたって、ジョン・キャメロン・ミッチェルにMTVへの傾倒がなかったか。ずばりミュージカルというライブのものを映像化するのにMTVの手法を取り入れてしまい、音楽+映像=MTVという公式の罠にはまってしまったのじゃないか。
 ボク個人に限っていえば、この系の音楽はあまり通暁しているわけでないし、そういうミュージカルがヒットしていたのは知らなかった。この映画を見ながら、ひょっとしてヘドウィクというグループが実在しているのかと、そしてこれはそのグループのドキュメンタリーなのかとさえ思ってしまった。はっきり言うと、同じグループのMTVを立て続けに見させられるつまらなに途中で飽き飽きしてきたのだ。
 断っておくけれど、ボク自身はMTVが嫌いなわけでない。むしろ、うちの家のテレビで一番チャンネル占有率の高いのはMTVなくらいなのだ。だが、MTVは単に映像、《映画≠日誌》の『ザ・セル』での言葉を借りると「MTVの映像は楽曲に従属」(『ザ・セル』の監督ターセルは元々MTV作者だった)、つまりこの『ヘドウィグ〜』が元々ミュージカルで、歌詞の中で物語っていくという宿命があったにせよ、ミュージカル、映画の差異化を図るためにあまりに映像を楽曲に従属させてしまった。たぶんみんながいいというだろうアニメ化させた部分などはその最たるもので、ボクはなんでこんなことするんだ!?と、まぁその時点で飽き初めてたのでした。
 
Hedwig and the Angry Inch
製作 パメラ・コフラー / ケイティ・ルーメル / クリスティン・ベイコン
監督・脚本 ジョン・キャメロン・ミッチェル
原作 ジョン・キャメロン・ミッチェル / スティーブン・トラスク
撮影 フランク・G・デマーコ
音楽 スティーブン・トラスク
出演 ジョン・キャメロン・ミッチェル / ミリアム・ショア / マイケル・ピット / スティーブン・トラスク / セオドア・リスチンスキー / ロブ・キャンベル / マイケル・アラノフ / アンドレア・マーティン
★★☆



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2003年04月09日(水)
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