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 ジャック・ドワイヨン『イザベルの誘惑 』(1985 仏, スイス)


 フランス映画、嫌いという人には、ますます嫌いにさせる典型的フランス映画。さしものボクでもたいがいいじいじさせられた。まいった。というか、フランスの感覚というのは尋常ではないのネ。変態といってもいい。いや変態なんです。これって精神的SMの極致じゃないですか。つまり
 イザベル(アン・ジゼル・グラス)の誕生日のお祝いに夫のブリューノ(ジャック・ボナフェ)が用意したのはかつての恋人アラン(ザビエール・デリュック)。こんなこと尋常な神経でやるかい。しかもアランの嫁リオ(ファニー・バスティアン)付きでだぞよ。スワッピングパーティーかというとそうでもなくて、ブリューノがイザベルの愛を確かめるためだと。な、な、フランス映画嫌いにはとうてい耐えられそうにないだろ。このシチュエーションを仕組んだブリューノはともかくとして、そのシチュエーションに巻き込まれた三人は、現在の状況に変調をきたす。これ、正常。三人三様にずたずた。アランとイザベルはヨリを戻せそうで戻せない。そりゃそうだろ、トリュフォーの『隣の女』のようなシチュエーションならありうるだろうし、あれならボクだってついふらっと行ってしまっても不思議じゃないけれど、その当事者によって仕組まれて、はい、そうですかとヨリもどしてたら、もう無茶苦茶だわ。一方、一番の被害者アランの嫁リオは、加害者であるブリュノーと関係してしまう。その揚げ句にブリュノーは自爆してしまうんだから、ちょっと呆れはててしまう。う〜ん、フランス映画だ(苦笑)
 このジャック・ドワイヨンという監督、ヌーベルヴァーグの後を継いで行く監督という。ボク自身そう見てるわけではないのだけれど、ジャック・ドワイヨンの当時の嫁だったジェーン・バーキンの『ふたりだけの舞台』(『彼と彼女のコメディ』)の作り方というのは、まあまあ好きだったのだけれど、その前に作られたこの『イザベルの誘惑 』はちょっとボク的にもちょと辛い。どっちもずたずたぐちょぐちょと湿っぽいのには変わりはない(ここのところがフランス映画嫌いには耐えられない)けれど、『ふたりだけの舞台』の軽妙さにくらべて重いしね。ついでにジェーン・バーキンの元夫セルジュ・ゲンズブールとの娘シャルロット・ゲンズブールも出演させてるのだから、そこらあたりの私情というのはいかにもフランス的でとうてい日本の感覚で推し量れないのだろう。
 何はともあれ、ジェーン・バーキンを巡るジャック・ドワイヨンの私小説。これほどの私小説を映画にしてしまえるのもフランス映画=ヌーベルヴァーグ直系というところで捨て置けない。が、フランス映画嫌いの人には絶対薦められません。

La Tentation D'isabelle
製作 ジャン・ルイ・プロシェ
監督 ジャック・ドワイヨン
脚本 ジャック・ドワイヨン / ジャン・フランソワ・ゴイエ
撮影 ウィリアム・リュプチャンスキー
音楽 フィリップ・サルド
出演 アン・ジゼル・グラス / ジャック・ボナフェ / ファニー・バスティアン / ザビエール・デリュック / シャルロット・ゲンズブール / アンリ・ビブロイユ
★★★



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2003年04月11日(金)
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