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■ スーザン・シーデルマン『スミサリーンズ 』(1982 米)
とてもざらざらついた映像にひどく魅かれてしまう。何がどうってわけでもないし、エンディングだって決してハッピーじゃないのに。たかがいかれ女レン(スーザン・バーマン)が一人、イケメン=エリック(リチャード・ヘル)とリザーブ君ポール(ブラッド・リジン)の間を行ったり来たり、夢ばかりで何も起らない、そのような荒んだNYの情景。60's、70'sにどこか通じるのに、どこかちがう、ぽこっと抜け落ちてしまった何かを夢見る。それが一世代、二世代も前なら『路上』とでもなっただろうに、サル・パラダイスさえもはやいなくなて、せつなさが支配する。というふうにボクには感じられる。 これってどうしようもないんだろうな。ちなみにイケメン=リチャード・ヘルはThe Voidoidsというパンクバンドのリーダー。そこんところはよくわかってないんだけど、ベルベットあたりがルーツになって、パティ・スミスやテレヴィジョン(これにも参加)とともに典型的なNYパンクらしい。ボク個人的にはパティ・スミスから先に行けなかったからわからん。なんでもピストルズなんかのBKパンクにもかなり影響したとか。 うんうん、そうしたら何か見えてくる。何かこうね、80年代頭のロックシーンってやりきれなさというか、ロックはもうおしまいだという感があったんだよね。そこの徒花(なんていうと怒られそうだけど)のように咲いたのがパンク... そのような時代の空気がもろに感じられるのがこの映画だなって。だから見ていて妙なせつなさにつきまとわれて。 音もかっこいいです。とくにラストでの切迫したレンの心情にばっちりなのがとてもかっこいい。
Smithereens 製作・監督 スーザン・シーデルマン 脚本 ピーター・アスキン / ロン・ナイスワーナー / スーザン・シーデルマン 撮影 チャリン・エルカデム 美術 フランツ・ハーランド 音楽 グレン・マーサー / ビル・ミリオン 衣装 アリソン・ランセズ 出演 スーザン・バーマン / ブラッド・リジン / リチャード・ヘル / ナダ・デスポトヴィッチ / ロジャー・ジェフ / ロビン・ホワイト / パム・スピード / キティ・サマーオール / キャサリン・ライリー
★★★★☆
2003年04月23日(水)
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