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■ イングマール･ベルイマン『ある結婚の風景』 (1974 スウェーデン)
元は５時間のテレビドラマだったらしいが、再編集されて３時間弱。その３時間弱のほとんど全編、リヴ･ウルマンとエルランド･ヨセフソンの夫婦の会話だけで延々綴られていく。テレビドラマの第１話だろうか、最初のパートでは典型的に幸福な夫婦としてのインタビューとその写真撮影。第２話になるのか、友人夫婦とのパーティー。残りの２時間ほどはほんとに夫婦二人っきり。舞台も場所を変えることはあってもほとんど室内のみ。こんなので映画（あるいはテレビドラマ）として成り立つのか。
人によっては、中年を過ぎつつある夫婦の、犬も食わないだろう会話を映画にして見せつけられたところで、いったい何がおもろいんだと思うにちがいない。退屈極まりない。うじうじ、いじいじ、はっきりせいいいいいと、ビール瓶でも投げつけたくなるだろう。
え〜っとですね、野球に喩えますとですね、２点リードされた９回に11点入れてひっくり返してしまう（あるいは６点リードされた８回裏に一気に８点取ってひっくり返してしまう）というのは痛快極まりなくて、見てるほうも大騒ぎ。ところが、息詰まる投手戦というのは、それ以上に痺れてしまうわけであります。見ごたえがある。
とくにボクのようにですね、叩けばホコリしか出てこないような中年もとうに過ぎ去った不良老人にとっては、非常に身につまされてしまって、思わず重ね合わせてしまっている。これ、ちょっとたまらんですよ。あのときはふにゅふにゅだったけれど、あれでよかったんだろうか？そして今は...
そんなふうにいつしか見入ってしまう、ベルイマンの力技に降参。
ラストの「それに背中が寒いよ」･･･いいよねぇ。
SCENER UR ETT AKTENSKAP
監督 イングマール･ベルイマン
製作 ラーシュ=オーヴェ･カールベルイ
脚本 イングマール･ベルイマン
撮影 スヴェン･ニクヴィスト
音楽 オウェ･スヴェンソン
出演 リヴ･ウルマン / エルランド･ヨセフソン / ビビ･アンデショーン / ヤン･マルムショ / グンネル･リンドブロム
★★★★☆
2003年06月05日(木)
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