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 神代辰巳『地獄』 (1979 日)

 ずばり神代辰巳、一世一代の超駄作。何が原因でこんなことになってしまうのか。ちょっと哀しい。かなりサミシイ。
 しっかし豪華キャストだよなぁ。岸田今日子、林隆三、石橋蓮司、田中邦衛と一癖も二癖もある役者と神代が組んで、火曜サスペンスまがいなんだもん、あ、前半ね。もう臭い、クサイ。弟の嫁(原田美枝子)を兄が寝取って駆け落ち。怒り狂った弟(田中邦衛)は二人を追いかけてぶっ殺してしまう。死んでしまった体から女の子(原田美枝子)が生れ、20年後に怨念に導かれた復讐劇。このストーリーってか、まったくもって神代らしくないし、清順組の脚本田中陽造(『陽炎座』、『ツィゴイネルワイゼン』ほか)も何をトチ狂ってんだとしか言い様のない臭さにあきれ返る。
 ふはははっ、ボロくそでんな(^_^ゞ いや、実際、つかみはいいんだよ。田中邦衛の殺害シーンなんかは、山崎ハコの「兄妹心中」をバックに、いかにもセットでございというセットが逆に地獄を想起させる。このあたりはまだ、をっ神代やってくれるじゃないと安心して見てられた。ところがいざ20年後の因縁譚になっていくと、殺された母親の怨念に導かれ、鬼涙村(なんてチープな)に行ってからのセットまでチープ。おどろおどろしさがまったく感じられないんだな。一人、岸田今日子は浮いてしまってるしな。林隆三と石橋蓮司の兄弟で 、お互いに異母兄妹の原田美枝子をとりあいしちゃってから、それも因縁譚なのだというくそチープさ。そこへすりかえられた「夏の」妹(栗田ひろみ)がからんでぐっちゃぐちゃのチープさ。なんとかならんのかい。そして因縁の決着点が林隆三と原田美枝子が駆け落ち、即あえなくがけ崩れで二人抱きあって地獄行き。
 はい、ラスト1/4は地獄百景。どういうわけか、そんなにまでして結びついた囃子隆三は消えています。もうこの地獄百景はお笑いですな。金がかかってそうなくせにチープさこの上ない。閻魔大王が金子信雄ってのも笑えます。そして豪華キャストによる亡者の行進。お気の毒様。岸田今日子を石臼で挽いてしまえるのは神代だけかもしれない。どっかのレビュー見てたら、地獄に堕ちた母親に原田美枝子が気ぐるみで着て出てくるのに、劇場では失笑だったと。
 思うに、日活では金の使わない方は習得してきた神代です。いざ東映で金使っていいと言われてもどう使えばいいのかわかりませぇ〜ん。
 あ、痛っ、たたたぁ〜。痛さ、100倍!

 
監督 神代辰巳
脚本 田中陽造
撮影 赤塚滋
美術 鈴木孝俊
音楽 真鍋理一郎
特撮 矢島信男
出演 原田美枝子 / 岸田今日子 / 石橋蓮司 / 林隆三 / 栗田ひろみ / 田中邦衛 / 金子信雄
★☆



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2003年06月09日(月)
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