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 高橋伴明『愛の新世界』(1994 日)

 いやぁーおもしろかったなぁ。話は SM嬢レイ(鈴木砂羽)とホテトル嬢アユミ(片岡礼子)の日常を描くというだけで、これというストーリー展開があるわけでもないのに2時間近くタイクツせずの見れたって。(ボクの知ってる範囲での)バンメイのこれまでの重暗さなんかなくて、ひたすら軽妙快活。
 レイが、あっ、レイ女王様(^_^ゞ あ、いや、いや、知ってる人は知っている。そのことはおいといて。。。 ゑ−っとですね、あの、そのですね、レイが渋谷近辺に住んでるのでなくて、埼玉だか、近郊のどこかちょっとした田園地帯に住んでいるというのもいいやね。そしてひまわり。ひまわりは十分に荒木経惟を連想させてくれる。そにの意味でひまわりをあそこに配してるんだろうけど。レイが指の先にハチミツをつけてひまわりの横で指を突き上げると、その指先にミツバチがやってくるシーンはほんと名シーンだと思うな。そんなシーンどこかにあったっけ?
 何か、書こうかと思うことがいろいろあって、話はあっちこっちへ飛んでしまうんだけれど、カンニンな。で、レイが母親に「サイコセラピーのアシスタントをやっている」と手紙を書いているんだけれど、これ、笑ってしまった。なるほど、女王様はセラピストなのだ。そしてSMプレイのシーンが意外と多いのだけれど、それぞれにおもろいのだよ。それは見てのお楽しみにとっといてあげる(笑) きちゃない落書き・・・・
 笑ったというと、一方のアユミのほうは3高結婚願望が強くて、医者の卵、弁護士の卵と相手を取り換えていく。医者の卵はクロスワードパズルに夢中で、弁護士の卵はジグソーパズルに夢中。が、卵たちはどちらもヘタ。そしてどちらにも見せ金として、父親名義で自分の口座に自分自身で10,000,000円振り込んで見せる。この1000万円という数字の現実のなさがすごくいいな。
 もうひとつ大事な構成として、レイが小劇場の芝居を演っているということ。そこの劇団の男たちと日替わりでレイがHする、現実感の無さなんて最高。あげくのはてに淋病共同体になって、芝居の打ち上げじゃ、ジェット風船ならぬ、コンドーム風船を打ち上げているなんてほんま笑ってしまうって。ひとつの芝居の稽古から本番までの流れをこの映画の時間軸と持っている。この重ね合わせがどんぴしゃ。そうして芝居の打ち上げのあと、ひとりになったレイが「ひとつの祭りが終わった。そしてあしたから祭りの準備が始まる」と。このセリフ、すごく好き。
 上でバンメイをこれまで重暗かったと書いたけれど、同じように音楽の山崎ハコも重暗いという印象しかなかったのだけれど、これだって時代の変遷ってものかなぁ。あ、それでちょこちょこはさまれるナツメロってのはバンメイの趣味? 偶然なんだけれど、きのうどういうわけだか、「渚のシンドバッド」を口ずさんでたボク。
 そして大事な構成要素が荒木経惟の写真が挿し込まれる。スクエアな奴が見るとどうしようもない援交オヤジの映画とでも映りそうなのを、センチメンタルに締めているのが荒木経惟。鈴木砂羽がどこか荒木陽子に似てたりもして。

 
監督 高橋伴明
脚本 剣山象
原作 島本慶 / 荒木経惟
撮影 拓野直樹
音楽 山崎ハコ かしぶち哲郎
出演 鈴木砂羽 / 片岡礼子 / 杉本彩 / 武田真治 / 哀川翔 / 袴田吉彦 / 萩原聖人 / 鈴木ヒロミツ / 田口トモロヲ / 松尾スズキ / 松尾貴史 / 大杉漣 / 荒木経惟
★★★★☆



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2003年06月14日(土)
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