nikki-site 雑文速報
 あいうえお順INDEX 



 ヴィットリオ・デ・シーカ『終着駅』(1953 伊, 米)

 今年の夏にローマ行くのでね、その予習。。ってか。
 『終着駅』>テルミニ>ターミナル、というのはもうずっとずっと以前から知ってはいても、ようやっと初めて見たよ。ストーリー的には子どもある人妻マリア(ジェニファー・ジョーンズ)とイタリアの青年ジョヴァンニ(モンゴメリー・クリフト)との不倫メロドラマ・・・・と、侮ってたら痛い目に会う。
 まずはその裏話を淀長さんとこからパクってくると、製作のセルズニックの愛人がジェニファー・ジョーンズ。ジェニファーにせがまれて、嫁子をを捨ててまで作ってやったのがこの『終着駅』。鹿の園では何やってるこっちゃら。しかしこういう永遠の名作と呼ばれるものができてしまうんだからこわいです。
 主演のジェニファー・ジョーンズもモンゴメリー・クリフトもアメリカの俳優だし、がきんちょのポールのリチャード・ベイマーは『ウエストサイドストーリー』のトニーだしね。それがネオリアリズモ=ヴィットリオ・デ・シーカという、まさに鰻と梅干しのような食いあわせの悪さが、意図したかどうだか、逆にスリリングになってしまってんだから。
 このメロドラマの背景は、当時できたばかりのローマのテルミニ駅だけで、そこに蠢く人間たち、カトリックの4人組坊主だったり、出稼ぎ家族であったり、なんやわからんファシズム集団であったり、掏摸やら、万年筆売りやら、とにかくこの人間集団とメロドラマの主体とのちがいがね、たまらんのですよ。一粒で二度美味しいとはこのようなのを言うんでしょ。
 肝心の主題のメロドラマはジェニファーのおねだりに端を発したものだからか、古典的メロドラマの極みとでも言うべきもので、きっといまの時代から見ると?が4つも5つもつくようなものだけど、どういうわけか捨ておけないんだよなぁ。いや、ほんまにストーリー的には単純で、別れの愁嘆場。旦那子どもを捨ててこのままイタリア男に走るわけにはいかないワと、7時の列車でローマを去ろうとする。それを男が追いかけてきて、列車から引きずり下ろし(←ウソ)、やっぱりこの男と、いややっぱり子どもまで捨てられないワの間をイヂイヂイヂイヂ、しまいには警察沙汰にまでなって、これじゃ世間にばれちゃうってところで8時半の列車で女は去っていくという。はい、ここに一つの仕掛けが。そうです、映画そのものの時間はかっきり1時間半。

Stazione Termini
製作 デヴィッド・O・セルズニック / ヴィットリオ・デ・シーカ
監督 ヴィットリオ・デ・シーカ
脚本 チェザーレ・ザヴァッティーニ / トルーマン・カポーティ
撮影 G・R・アルド
音楽 アレッサンドロ・チコニーニ
出演 ジェニファー・ジョーンズ / モンゴメリー・クリフト / リチャード・ベイマー / ジーノ・チェルヴィ
★★★★



↑投票ボタン



2003年06月20日(金)
 ≪   ≫   NEW   INDEX   アイウエオ順INDEX   MAIL   HOME 


エンピツ投票ボタン↑
My追加