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 レオス・カラックス『汚れた血』 (1986 仏) ★★★★

 『ボーイ・ミーツ・ガール』(83)で《ゴダールの再来》などと騒がれて、『ポンヌフの恋人』(91)で終っちゃった感がなきにしにもあらずのレオス・カラックス。その後の『ポーラX』(99)、見てないんだよなぁ。
 確かに『ボーイ〜』ではゴダールの映画文法、きゃっ、を踏まえているけれど、初々しくて、その分、をーっと思わせてもくれた。そりゃ、騒がれもするでしょ。
 久しぶりにこの『汚れた血』を見返してみると、その騒がれようがわざわいしたのかと思ってしまう。初めて見たときにふっとなにげにゴダールっぽくていいじゃんと思えていたのが、妙に鼻につく。こんなに巨匠しちゃっていいのか、しんどくならないのかと、変な心配が生れてくる。その心配がどんぴしゃ『ポンヌフ』に現れたといってもいいかも。この『汚れた血』の製作期間ってどれくらい?『ポンヌフ』なんかは資金難からそれが異様に長かったというが、映画なんてインスピレーションでさささっと作ってしまわないと。
 なんかケチばっかつけてますけどね、この『汚れた血』は好きだね。わけわかんなさ、突拍子のなさが好きなんお。つまりSTBOという奇病、これ突拍子もなくて、マルク(ミシェル・ピコリ)、アンナ(ジュリエット・ビノシュ)を取り巻く人間関係のわけわかんなさ、それらのアンバランス具合、不整合性は、へたなサスペンスより100倍もいい。アメリカギャングのおばはん(キャロル・ブルックス)凄みあるしね。
 で、そのままミシェル・ピコリやハンス・メイヤー、 キャロル・ブルックスといった性格俳優の凄みで走ってしまうんじゃなくて、ビノシュはそのサイドにとりこまれてしまってんだけど、ジュリー・デルビーね。デビューしたてだからね。ジュリー・デルビーどうこうじゃなしに、ジュリー・デルビー存在そのもので★1コ増えるんだって。
 ところでまたケチつけますが、ボウイの「モダン・ラブ」の使われ方、ボクは好きじゃない。なんでMTVやらなきゃダメなのって調子で、それに続くガキのころのアレックスとママを引っ張り出してくるとこなんざ、青臭いなぁ。その青臭さがレオス・カラックスの魅力と言えないこともないけれど。まぁ、ラストでビノシュが翔んでしまうことでよしとするか。



MAUVAIS SANG
製作 アラン・ダーン / フィリップ・ディアス
監督・脚本 レオス・カラックス
撮影 ジャン=イヴ・エスコフィエ
音楽 ベンジャミン・ブリテン / セルゲイ・プロコフィエフ / シャルル・アズナヴール / デヴィッド・ボウイ / セルジュ・レジアニ
出演 ドニ・ラヴァン / ジュリエット・ビノシュ / ミシェル・ピコリ / ジュリー・デルピー / ミレーユ・ペリエ / ハンス・メイヤー / キャロル・ブルックス / セルジュ・レジアニ
★★★★



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2003年08月03日(日)
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