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 ジム・ジャームッシュ『ストレンジャー・ザン・パラダイス』 (米,西独1984) ★★★★★

 記憶というのは、おうおうにして色が失われたモノクロでざらついている。そして何よりも1シーン1カットで成り立つ。なんて書いてしまったらもう書くことあらへん。
 ハンガリー出身ということを隠してニューヨークで生活するウィリー(ジョン・ルーリー)のもとに、エヴァ(エスター・バリント)がやってくる。クリーブランドの伯母のもとに行ってしまったエヴァを追いかけて、ん?追いかけてでもないな、エヴァによって生活が変わると、ウィリーは友だちのエディ(リチャード・エドソン)と、エヴァを訪ねていく。ハンガリー、ニューヨーク、クリーブランド、どこへ行っても、どこで暮らしてもつきまとうどうしようんあい閉塞感。マイアミに、パラダイスを求めて、3人で走るが。。。なんて、どっかで読んだようなれびゅでしょ。
 なんかね、このやりきれなさっての、ボク自身のかつての記憶にだぶってきたりする。だから、記憶というのは、という書出しになってしまった。それはおこがましいけれど、ジムジャー・ムッシュにしても同じだろうと思う。いまだに使うのは気恥ずかしいけれど、青春の挽歌であるような。そしてジャームッシュにはケルアックの『路上にて』が下敷きになったことは間違いがない。サル・パラダイス。。。。これはジャームッシュの『路上にて』への解答でしょう。
 ケルアックの『路上にて』はさまざまな人間が登場するが、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』は、3人をじっくり描きこむ。連続する1シーン1ショットそれぞれが1枚の写真のように完結しているかのように見えてくる。写真集のようでもあるのね。ポスターにもなったフロリダの浜辺のシーンなんかね、ほれ、ポスターの写真、これ1枚だけ取りだしてもすごく絵になってるでしょ。
 モーテルの中で3人が、これがバカンスなのかと落込むシーンも好きだし、真っ白なエリー湖のシーンも好き。そしてクリーブランドのおばちゃんのトランプのシーンも、テレビに見とれるシーンも好き。出ていく3人をとんでもない話だと見送ったあとにドアを閉じるところなんてたまらないね。それらひとつひとつがほんと写真のように頭の中に定着される。
 をっと、ジョン・ルーリーの音楽の使い方もすごくいい。スクリ−ミン・ジェイ・ホーキンスがはまりまくり。


Stranger Than Paradise
監督・脚本 ジム・ジャームッシュ
製作 サラ・ドライヴァー / オトー・グローケンバーガー
撮影 トム・ディチロ
音楽 ジョン・ルーリー
出演 ジョン・ルーリー / エスター・バリント / リチャード・エドソン / セシリア・スターク
★★★★★



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2003年08月28日(木)
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