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 今村昌平『赤い橋の下のぬるい水』 (2001 日) ★★★★☆

 家の中からどぶに流れ出す排水溝見たら妄想にかられるんですけど(汁)
 今村昌平というと、ボク的にはまず『 神々の深き欲望』で、そこからスタートして、『にっぽん昆虫記』、『復讐するは我にあり』、『楢山節考』、『黒い雨』という感じで、どっちかというと硬派なイメージなのに、やってくれるかぁぁとあきれ返るやら。それもこの映画の当時で75歳の、言うてみたらお爺ちゃんでしょ。こんなもん《老人力》だなどと澄ましていいのか。

 問題の《ぬるい水》については、辺見庸の原作なんだろうけれど、読んでないからわからん。その《ぬるい水》が2階から流れ出て、家の下水溝をつたい、しまいにゃ婆ちゃんの書いたおみくじも押し流して、赤い橋の下に流れこむ。そして流れ込んだ川では、ヒラメやウナギが、その《ぬるい水》に活性化してしまって爆釣。なんてもう漫画の世界。が、これが今村昌平の手にかかると、大まじめになってしまうんだから、たまったもんじゃない。あ、たまるから、こうなるのか(汁)
 中村嘉葎雄、ミッキー・カーチス、矢野宣んの釣り師3人組ってのもいいんだよねぇ。これぞ《老人力》っていうのか。このトリオっていうのは何気ない配置なんだけど、決して捨ておけない。ある意味では、この映画を成り立たせているなんて言ってもいいんじゃないか、なんて、ちょっと評論家っぽいしょ。もうひとつどうでもよいように見えてとんでもないキャラが、アフリカのマラソンランナー。なんでこんな富山の田舎でマラソンのトレーニング?なんて考えたらダメね。そのマラソンランナーの走りを追い抜いてまでも走る役所広司。漫画なのですよ。ちょっときどっていうとカリカチュア。大まじめな役所広司を包囲していくカリカチュア軍団を配置することで、この映画は勝ったようなもんだね。
 もちろん、直接役所広司とがっぷりわたりあう清水美砂にしたってそう。倍賞美津子もそう、「壺の中身はもう枯れた」なんて笑わせてくれる。ホームレス不破万作もそうだし、青テントの哲学者=北村和夫なんてその張本人だからな。みんながよってたかって、役所広司をカリカチュアしていく。役所広司がまじめに走れば走るほど、マラソンランナーを追い抜くようにまでなっても、《善人なおもて往生をとぐ》なんてことばがはまってしまう。これぞ、まさに75歳の爺さんだからこそ作れたフェアリーテイルとでも言うときましょう。若い監督がなんぼ頑張っても、これは作れないな。

 え?その《ぬるい水》って何って。そんなもん自分で見れや(爆汁)




LES AMANTS DU PONT-NEUF
監督 今村昌平
製作 豊忠雄 / 伊藤梅男 / 石川冨康
製作総指揮 中村雅哉
原作 辺見庸
脚本 冨川元文 / 天願大介 / 今村昌平
撮影 小松原茂 
出演 役所広司 / 清水美砂 / 北村和夫 / 倍賞美津子 / 不破万作 / 中村嘉葎雄 / ミッキー・カーチス / 矢野宣 / 坂本スミ子 / 北村有起哉 / ガダルカナル・タカ / 夏八木勲 / 小島聖


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2003年09月23日(火)
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