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 テリー・ギリアム『未来世紀ブラジル』 (1985 英, 米) ★★★★☆

 しっちゃかめっちゃかの極致!
 未来世紀? うはっ、ウソっばっか。時代設定、時代考証、そんなものは二の次、三の次。とにかくコンピューターに支配されている世界、あるいは時代ということは確かではあるが、そのくせやたらペーパーが飛び交う。つまり製作された85年より、やたらいま現在において、より同時代性がある。だからよりいっそうイヒヒヒヒとほくそ笑んでしまうのだ。そんなシーンが続出。をー、そうそう、情報省のゲートでの認識システムね、なんかようわからんかったけど、ピピピっと、これっていま現在、指紋識別システムだとか、顔による認識システムができたとかでしょ。妙にいま現在にマッチしてしまうのね。
 テロリストを逮捕しにくるのですワ。そのときに罪状が何だか説明しないで、第53条第4項により、という具合に、罪状もコンピューターに入力するためのコードでしかない。同じことがレストランで注文するにも3番のビーフステーキ。そのくせ逮捕するにあたって、その逮捕状らしき書類の受け取りのサインさせる。そしてまたその書類を受け取ったという受け取りのサイン。どっかの国のようにハンコじゃないのですが、こういう場合、やっぱり印鑑証明つけて実印じゃないとアカンのだろうか(笑) サインというと、これまた小馬鹿にしきっていて、小切手に上司がサインすべきところをサム(ジョナサン・プライス)がやってのけて、そしてそのとでは別の書類にこっそりその上司がサムのサインをやってしまってると。これだけとっても、今の社会を徹底的にアフォにしまくっているのだが、その程度で済ませてくれない。もうコケにしてるのオンパレード。
 なんか笑えるシーンの連続で、その笑い各種とりそろえてくれてんだね。例えば家のエアコンシステムが故障。壁をがばっと開けてみたら、壁の中はパイプがごにょごにょごにょごにょ、これにつけかえればよいと出してきたのは、あれ点滴の器具とちゃうんかなぁ、ここんとこなんかは、それらのパイプのごにょごにょは明らかに、腸や内臓でしょ。しまいには家の外でパイプをつなぎ変えて、なんで修理屋が宇宙服のようなのを着てるかというのはおいといて、その宇宙服の内側にうんこしっこが流れ込んで爆発する。ちゃんとボクらのうんこしっこネタも取り揃える大サービス。
 書き出したらキリないなぁ。しっかり研ナオコねた(笑)もあり、って、整形ですね、顔にラップをぐるぐる巻き付けたのにはほんま笑えた。
 いちおうどうでもええストーリーってのもあるんだけど、サムが夢の中で見たジル(キム・グレイスト)に出会って、というロマンスもあるんだけれど、ほんまにそれはどうでもよろし。しかしその夢のたいそうさったら、もうテリー・ギリアムの真骨頂。
 小馬鹿にしてるというと、アクション映画も小馬鹿にしてるように見えるんだね。いちおう爆弾テロの話なんだから、爆破シーンも何度かあって、いきなりテレビが爆破されるのはちょいびっくり。アクション仕立てになっていて、もちろんお約束のカーチェースもありです。が、一見そのようなアクション仕立てであっても、ドームのてっぺんからタトル(デ・ニーロ)がさっそうと降りてこようが、へぼいのだよ。ところがどっこいへぼさを狙ってるふしがある。カーチェースの車種といい、実車じゃなしに模型を走らせてるのはっきりわかってしまうんだもん。この開き直りは確信犯とみた。

Brazil
監督 テリー・ギリアム
脚本 テリー・ギリアム / トム・ストッパード / チャールズ・マッケオン
撮影 ロジャー・プラット
音楽 マイケル・ケイメン
出演 ジョナサン・プライス / ロバート・デ・ニーロ / イアン・ホルム / キム・グレイスト / キャサリン・ヘルモンド / ボブ・ホスキンズ

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2003年10月01日(水)
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