nikki-site 雑文速報
 あいうえお順INDEX 



 園子温『自殺サークル』 (2002/日) ★★

 この映画って面白いんだかつまらんのか、いいんだ、よくないんだか、ようわからん。
 この映画の着想のスタートが女子高生54人新宿駅飛び込み自殺だったと監督自ら言っているけれど、これは壮観、と言ったら顰蹙買いそうだけど、とにかく壮観。実際には100人のホンモノの女子高生を並べたってんだから、あの絵は好きだな。やってくれるじゃないかっといところは非常に波長があってた。「いっせぇ〜の」
 さて、こっからだ。社会が死体そのものを見せないようにしている。だからなのだと、言わんばかりに見せる、見せる。見せまくり。はっきり言って悪乗りスプラッターだね。血のりをふんだんに使って、肉も混ぜたってさぁ。肉屋で売ってる肉かい? ホルモンにしたんだろうな。テッチャン入れたんだろうな。って、アホなこと書いてますけどね、基本的にボクはスプラッター大嫌いだし、ウソというのが見え見えで白けるばかり。だからってほんまに人を死なせて見せましょうとも思ってるわけでもない。
 低予算だと言うとるわりに自殺の結果にかなり精力つぎこんどらん?悪趣味と断言されてもいたしかたない血のりの量でしょ。学校の屋上から、これまた「いっせい〜の」も壮観なんだけれど、その直後に教室の窓に血のりをぶちまけてたの、白ける。
 話、変えます。さとう珠緒に宝生舞の出演って何だったんですか?自殺する人間の数を増やしたかっただけかいね。せっかくさぁ、このあたり出してくるんだったら、もっと使ったげてよねぇ。確かにねぇ、低予算で、スケジュール1日しかとれなかったっての見え見えなんだけど、キャストの上の方においといて、はじめのほうでちょろっと出たきり飛び降りておしまいとは。金、返せ!嘉門洋子もそうだね。その割に男優陣の方が面白かっただろうな。
 なんかねぇ、自殺ってねぇ、その明確な答え(投票ボタンに使ってしまったけど)をぽんっと出しておきながら、とりとめもなくて、ゲロっぱなホラー映画のように走ってみたり、とりとめがないってのは、これって致命的だよ。要するに、女子高生54人新宿駅飛び込みという着想、それ自体はいいと思うのだけれど、それを受けて、どうなんだって、答えらしきものを撒き散らして、自殺に答えをつけてあげようなんて考えてませんけどね、あ、そうか、この映画自体が飛び込み自殺して肉片を撒き散らしただけなんだ。「あなたはあなたと関係できますか?」にしたって、石橋凌の刑事たちにしたって、自殺クラブ=ローリーにしたって、ネットにしたって、着想ばっかりを撒き散らしたにすぎないのだ。ついでだから書いておくと、もうアホくさくて笑ってしまうのは、アイドルグループ・デザートの存在。アイドルとして描くのなら、血のりに使った金をまわしたれよ。だいたいそのアイドルに謎解きのようなキーをもっていくなんて、火曜サスペンスじゃないんだから、くだらさすぎる。
 萩原明(新人女優です)がステージに立ち、客席の子どもたちが座っていながらの立場の逆転というのはすごくおもしろいのだけれど、それにしてもなのでありました。


監督・脚本 園子温
撮影 佐藤和人
美術 西村喜廣
音楽 長谷川智樹
出演 石橋凌 / 永瀬正敏 / 迫英雄 / 麿赤児 / 萩原明 / ローリー寺西 / 嘉門洋子 / さとう珠緒 / 野村貴志 / 宝生舞 / 余貴美子

↑投票ボタン




2003年11月14日(金)
 ≪   ≫   NEW   INDEX   アイウエオ順INDEX   MAIL   HOME 


エンピツ投票ボタン↑
My追加