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■ 是枝裕和『幻の光』 (1995 日) ★★★★★
ヴェネチアでオゼッラ・ドゥオロ賞なんてのをもらってんだね。この2年後にカンヌで河瀬直美が『萌の朱雀』でカメラ・ドールもらっていて、 この2つどこか共通するところがある。 いつもこのまごれびゅを書くときに、ちょこっと人様のコメントなんかカンニングしたりしてるのだけれど、この2つに共通して書かれているのは、「暗い」「わからない」ってこと。 思うに、これこれはこうなってこういうふうになりました○...というように一部始終を説明してもらわないと困るのでしょうか。はっきりとした結末を見せていただかないと満足できないんでしょうか。 「ええ陽気になりましたねぇ」「ええ陽気になったなぁ」そして開け放たれた窓辺の文机にペンが乗っていて....と、こういう終わり方はなんともやりきれない。ああ、わたしに、どっちに転ぼうが、できたらハッピーエンドのほうがいいけれど、きっちり型にはめてほしい...って・・・・・・ はっきりとわかっるのは、婆ちゃんの失踪を止めることができなかった少女(吉野紗香だ!)が、でか女(江角マキコ)になり、浅野忠信と結婚し、子どもができた途端に浅野忠信はどういうわけか、自殺。その数年後、奥能登の、これも嫁さんを亡くした内藤剛志と再婚して奥能登に行くけれど、浅野忠信の自殺の理由がわからなかった、止められなかったことがひっかかって、さてそれでどうなるんやら。 ねぇ、突然、小さい子どもを連れて列車に乗ってどこ行くんやろうなって、思ってたら、どうやら、後妻に入りに行ったということがわかって、じゃあ、なんでそんな尼崎から奥能登の男と知りあったんやろって、ずっと経ってから、「仲人さんがよかったから」なんてセリフでやっと、どうも「子どもも小さいし、女一人でおんのも大変やろ。あんたちょっと能登の先っぽのほうの小さな漁村の人やねんけど、その人もな、奥さん亡うなって、お子さん、女の子やねんけど、一人いたはって、苦労してなさるんいたはんねんけど、どないユミちゃん、いっぺん見合いしてみいひん」なんて、これはボクが勝手に作ったセリフやねんけど 映画というのは本来は動いてるものを撮って見せるわけなんだろうけれど、これだけ動きが氾濫してしまうと、つまり実際にはそこまで動けなくてもCGばんばん使いまくって、びゅんびゅん動かしてでも見せてやろうなんて時代(ボクの頭の中にはとある映画をさしてんだけど(笑)、あえて書きませんけど)にね、静止画をえんえんと見せ続けられるのって、すごく素敵! うっとりしてしまうのです。ぎちぎちに説明たらしいセリフや作られた景色が詰め込まれて、これでもか、これでもかってくらいに、ああ、もううざいんだよって、うるさいんだよって時代に、こういう情景がどこかにあったの忘れてない?ってつきつけられたら、もう降参してしまいます。素敵でした。
ところでDVDのおまけについていた是枝裕和監督と江角マキコが、能登のロケに使った廃屋を訪れる映像、う〜ん、8年かぁ。
監督 是枝裕和 製作 重延浩 プロデューサー 合津直枝 原作 宮本輝 脚色 荻田芳久 撮影 中堀正夫 美術 部谷京子 音楽 チェン・ミンジャン 出演 江角マキコ / 内藤剛志 / 浅野忠信 / 木内みどり / 柄本明 / 赤井英和 / 市田ひろみ / 吉野紗香 / 寺田農 / 大杉漣
2003年11月23日(日)
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