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 フェデリコ・フェリーニ『カビリアの夜』 (1957 伊) ★★★★★

 フェリーニ+ジュリエッタ・マシーナ、となるると、どうしてもまず一番にジェルソミーナ『道』ってなってしまうし、その印象があまりに強すぎるので、このカビリアもね、寅さんじゃないけれど、最後はわかってしまう。わかっていてもつい。仮にカビリアがハッピーエンドになったらブーイングしかねない。最後にあの摩周湖のような湖岸(裏摩周展望台にそっくり)で泣き崩れ、転がり回るのを見て、やっぱりホッと安堵する。逆説的。そして最後の最後に「ボナセーラ」と少年に声をかけられることで、本当の意味での安堵が見る側に訪れる。あの「ボナセーラ」の一言を聞きたいためにここまで見てきたのだ。
 決して、マシーナって女優はハリウッドなんかから見たら、チビだし、顔立ちもパッとしないのに、もしローマの街角で出会ってもふつうの女にしかみえそうもないのに、ふっ、ふっと見せるあの可愛さはいったい何なのだ? 性善説というのはこのようなジェルソミーナやカビリアをおいてほかに体現しようがないんじゃないか。『道』から一転『崖』、そして再び『カビリアの夜』この表裏一体となった作品の流れには突き離し抱きかかえるという優しさがあって、ほんとにたまらない。そして『甘い生活』だもん。。。。

 2,3,気に入ったシーンというか拾っておくと、マリア寺院に奇跡を願って出かけるでしょ。松葉杖(マリオ・パサント)に、立てる立てる、(。_・)ドテッって、ひゃはは、フェリーニらしいって思わずほくそ笑んでしまう。催眠術のシーンもよかったなぁ。正面からカビリアに照明があたるところもいいんだけど、舞台袖で踊り子がストッキングを上げているのを写し込むなんて芸の細かさ。それとか、映画スター(アメディオ・ナザーリ)の家、「ここは動物園か」、からすごすごと帰るときに「くそっ、出口がわからない」
 ところで同じイタリア映画で、オスティア街道の街娼が出てくるの見たはずなのに、何だったか思い出せない。う〜ん、何だっけ? あ、パゾリーニの『アッカトーネ』か。

Le Notti Di Cabiria
製作 ディノ・デ・ラウレンティス
監督 フェデリコ・フェリーニ
脚本 フェデリコ・フェリーニ / エンニオ・フライアーノ / トゥリオ・ピネリ
脚本助手 ピエル・パオロ・パゾリーニ
撮影 アルド・トンティ
音楽 ニーノ・ロータ
出演 ジュリエッタ・マシーナ / フランソワ・ペリエ / アメディオ・ナザーリ / アルド・シルヴァーニ /
ドリアン・グレイ / フランカ・マルツィ / アンソニー・クエイル / マリオ・パサント

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2004年01月05日(月)
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