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 大島渚『儀式』(1971 日) ★★★★★

 このあたりの大島渚ってのは脂がのりきっているというか、ギトギトしたものを感じるんだよね。そしてこの数年間の大島をリアルタイムに映画館(きっちゃない!)で観ることができたというのは、ボクにとってすごくラッキーだったといつも思う。
 でも何を観てたんやろね。『新宿泥棒日記』のような鮮烈さがなくて、かなり忘れてる。むぅー、よく考えてみたら、30年前のことですか。どういうわけか、その後、この『儀式』は一度も観てない。何遍もおんなじのばかり観る必要もないですけど(-。−;)
 さてこの1970年前後というのは、昭和の年号でいうと45年。つまり戦前、戦後と分けた時、戦後の方が長くなってしまった時代やったんですね。ということもあってか、そろそろ昭和がいつ終わるだろうか、また高度経済成長で余裕も出てきたのか、昭和天皇の戦争責任とういうことがかなり大きなテーマだった時代やったんですね。
 で、なんでこういうことを書いてるかというと、桜田家がある意味、天皇家、あるいは昭和のメタファーとなってると言うてもいいでしょ。いかにして昭和を終結していくのか、とまぁ、難しいことはこの平成の御代には抜きにしましょ(w
 それよりも儀式というのがこれほど絵になるとはね。キューブリックばりのシンメトリーな絵が決まってるんだよねぇ。元々、冠婚葬祭なんていう儀式はシンメトリックなものだけどな。
 さて話のストーリーを簡単に書いてみようかと思ってもしんどいだもん(^▽^;) 《大島渚が戦後25年を総括する意味を込めて世に問うた野心作。敗戦後の日本を舞台に、家父長制度の中で生きることを強いられた若者たちの苦悩を描く。》なんて言われてもなぁ。「若者たちの苦悩」ねぇ(-。−;) 確かにそうかもしれへんけど、かなりドロドロの家族関係が底辺にあって...うみゅ、やっぱようまとめられん(苦笑)
 桜田家に天皇然と存在しているのがおじいさまと呼ばれる一臣(佐藤慶)で、その息子連中に大島組の小松方正、渡辺文雄、戸浦六宏というあたりがちゃかちゃかと侍っておる。大島組男優陣総出演ってとこでしょ。濃いよなぁ。この連中で、小松方正の結婚披露の宴が桜田家の中で繰りひろげられるんだけど、このシーンはむちゃ好きなのね。あ、今の若いにはちょっときついかも。何がおもろいんだってなるかも。かなり社会的状況を右も左もこのおじちゃんたちで茶化しまくっております。
 そして小山明子だ。女優がみな繭を剃り落としていてその凄みたるや。佐藤慶と小山明子の対決シーンなんて身震いしてしまう。「そちら行ってもようございますが」なんてドスの利いた声で佐藤慶をにらみつけんだぞ。
 中村敦夫がまたかっこいいんだわ。まだ木枯し紋次郎やる前だけど、動きにメリハリがあってね。そして桜田家を断ち切る役回りでね。河原崎健三はメインにつきボケやるにはいかないの。でも律子(賀来敦子)との絡みはエロいのな。見えるわけちゃうんだけれどとにかくエロいの。この二人を軸に話が動くんだけど、そこらで見てたら少しはわかるかもぉー
 ちゅうかね、やっぱり美術とかのスタッフ側のお仕事に感心するのも楽しいんだけど 

 
監督 大島渚
脚本 田村孟 / 佐々木守 / 大島渚
撮影 成島東一郎
音楽 武満徹
美術 戸田重昌
装置 吉見光男 / 馬場保行
録音 西崎英雄
照明 山下礼二郎
編集 浦岡敬一
出演 河原崎健三 / 佐藤慶 / 中村敦夫 / 賀来敦子 / 小山明子 / 乙羽信子 / 小松方正 / 渡辺文雄/ 戸浦六宏 / 殿山泰司 / 小沢栄太郎 /土屋清



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2004年03月23日(火)
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