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まごれびゅ

 
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 フランソワ・トリュフォー『ピアニストを撃て』 (1960 仏) ★★★★☆


この映画、ちょっとれびゅーしにくい。というのは、おもしろかったのかと言われればおもしろくないしね。やっぱり、れびゅーするからにはおもしろいのがいい。書いていてのってくるからね。
どんな映画と聞かれれば、そりゃ『ピアニストを撃て』ですから、ピアニストをピストルで狙い撃ちしようとする、ギャングアクション映画としか言いようがないのだけれど、そのアクションたるや、今の時代から見ると、なんともまだるっこしい。なんじゃこれ?となるの保証します。ただね、そうしたアクションものにはまってる人は、まずトリュフォーなど見るわけないから、やっぱりトリュフォー見ようなんてのは変わり者だということを念頭におくと、そのアクションのまだるっこしさなんて問題外でしょ。
いったい人生において、生活において、理路整然とした理詰めの行動をとる人などいない。なんでだかわからないが、こういうふうにしてしまってた。だけれど、そこには人それぞれの理屈がある。なんであのときあの女と別れてしまったか、もっともらしく理屈をつけてはみるものの、つまるところ別れたかったから、イヤになってしまったから、それだけのこと。その人生のわけのわからなさを映画にしてしまった。するとこうなるというのが『ピアニストを撃て』なわけで、だからこの映画に理路整然としたプロットなどを求めようとしたってつまらないだけ。なんだか狐につままれたように、ははははと笑っていればいい。そしてフランス映画のおしゃべりを、ふむふむと聞いていると、なるほどと思えてしまう話だらけ。どれもこれももっともらしいんだから。
ところがね、ラストでシャルルがまたピアノ弾いとるでしょ。なんじゃこりゃもんで、とにかく理路整然を求めたがる人にはなんでエンディングがこうなるんだろうけど、これが怖いんだよねぇ。まさにブラックなのさ。二度あることは三度あるというでしょが。
とにかくね、この『ピアニストを撃て』という映画は一癖も二癖もある、とんでもない映画で、はまる人ははまる。なんで『大人は判ってくれない』からこうなるのだと、このあたりのトリュフォーの変化がほの見えてにんまり。まぁ、そうでなかったら、10分と見られない映画というのは確かであります。

Tirez Sur Le Pianiste
監督 フランソワ・トリュフォー
脚本 フランソワ・トリュフォー / マルセル・ムーシー
原作 デビッド・グーディス
撮影 ラウール・クタール
出演 シャルル・アズナブール / マリー・デュボワ

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2004年09月17日(金)
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